①第三類って何?
危険物の第三類は、「自然発火性物質及び禁水性物質」です。 概要は 「空気に曝されることにより自然に発火する危険性を有するもの、または水と接触して発火し、もしくは可燃性のガスを発生するもの」 です。 はい、難しい言い方ですね。 まずは文字の意味から考えていきましょう。 自然発火性物質
- 何もしなくても発火する
- 性質を持った
- 物質(固体と液体両方)
- 水に触れるとダメな
- 性質を持った
- 物質(固体と液体両方)
②第三類に指定されている物質
- カリウム
- ナトリウム
- アルキルアルミニウム
- アルキルリチウム
- 黄りん
- アルカリ金属(K、Naを除く)を及びアルカリ土類金属
- 有機金属化合物(アルキルアルミニウム、アルキルリチウム除く)
- 金属の水素化物
- 金属のりん化物
- カルシウム又はアルミニウムの炭化物
- その他のもので政令でさだめるもの
- 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの
<カリウム、ナトリウム、アルカリ金属>
カリウム、ナトリウムがそれぞれ指定されていますが、それ以外のアルカリ金属も別項目で指定されています。 別項目で指定されているのはリチウムです。 これらは、水と反応して燃え上がりますし、更に厄介なことに空気中に放置しても酸化してほかの物質に変化してしまう上に、空気中の水分と反応して上記と同様に水素を発生します。 そのため、これら3種類の物質は石油中に保管する必要があります。 そして、リチウムだけは「石油に浮く」(=同じ体積で比較すると石油より軽い)ので、この性質は覚えておいて損はないでしょう。 これらの物質は、水に入れると水と反応して、可燃性ガスの水素を発生してとても危険です。 また、反応する量が多いと炎を出して燃え上がりますし、量が多いと爆発することもあります。<アルカリ土類金属>
これは、カルシウムとバリウムが指定されていますが、これらの物質もやはり水と反応して水素を発生しますので、水や空気と接触させるのは危険です。<アルキルアルミニウム、アルキルリチウム、有機金属化合物>
アルキルアルミニウム、アルキルリチウムが指定されていますが、それ以外の有機金属化合物も別項で指定されています。 別項目で指定しているのは、ジエチル亜鉛です。 アルキルというのは、炭化水素の事を意味します。 アルキル+アルミニウムなので、アルミニウムにアルキルが結合した物です。 そのため、炭化水素の部分は様々な構造が存在します。 すべて危険物該当です。 この物質は、空気中に放置すると自然に発火しますし、水とも反応して可燃性ガスを放出します。 そのため、窒素ガス等の不活性ガスを封入して酸素や水と接触しないようにしています。<黄りん>
これは第三類のなかで唯一の自然発火性のみを有する物質で、水とは反応しません。 そのため、水の中に貯蔵します。 昔はマッチに使われていましが、60℃付近で自然発火するのと毒性が強いため、健康被害が出たり、発火事故があったため今は使われなくなりました。 今は白りんとも呼ばれているようです。<金属の水素化物>
これは水素化ナトリウムと水素化リチウムが該当します。 文字が似ていますが、「水酸化ナトリウム」「水酸化リチウム」と間違えないようにしてください。 どちらも水との接触によって水素を発生しますので、水はもちろんの事、空気中の水分ものぞいた不活性ガス中で取り扱う必要があります。<金属のリン化物>
金属とリンが結合したもので、リン化カルシウムが該当します。 水と接触すると激しく燃え上がるので、水や湿気を含む空気に触れないようにします。<カルシウム又はアルミニウムの炭化物>
炭化カルシウムと炭化アルミニウムが該当します。 この物質は水と接触すると可燃性ガスを発生します。 炭化カルシウムはアセチレンガス、炭化アルミニウムはメタンガスが発生します。 そのため、水や湿気を含む空気に触れないようにする必要があります。<その他のもので政令で定めるもの>
トリクロロシランが該当します。 この物自体が揮発しやすいですし、水分や水蒸気と接触すると可燃性のガスを発生しながら発熱します。 なので、水分、湿気を避けて保管しなければなりません。③第三類の指定数量
- カリウム 10kg
- ナトリウム 10kg
- アルキルアルミニウム 10kg
- アルキルリチウム 10kg
- 黄りん 20kg
- アルカリ金属(K、Naを除く)を及びアルカリ土類金属 10kg
- 有機金属化合物(アルキルアルミニウム、アルキルリチウム除く) 10kg
- 金属の水素化物 50kg
- 金属のりん化物 50kg
- カルシウム又はアルミニウムの炭化物 50kg
- その他のもので政令でさだめるもの 300kg
- 前各号に掲げるもののいずれかを含有するもの 300kg
<試験>
・自然発火性試験 空気中での発火の危険性を評価 ・水との反応性試験 水と接触して発火もしくは可燃性ガスが発生する危険性を評価 これらの試験を行い、総合的に判断してどのグループに該当するか確認します。 ただ、カリウムやナトリウムなどの名称が指定されている物は、試験をせずとも危険物に該当します。④第三類全体の共通事項
<特性>
- 常温で固体又は液体
- 空気又は水と接触すると、発火又は可燃性ガスを発生する
- ほとんどは自然発火性と禁水性の両方の危険性を持っている(黄りんは自然発火、リチウムが禁水性のみ)
- 可燃性の物もあれば、不燃性のものもある
<火災予防方法>
- 自然発火性物質は空気と接触させない
- 火気や加熱を避ける
- 禁水性物質は水と接触させない
- 容器は密栓し、破損や腐食を確認する
- 換気のよい冷暗所に貯蔵する
- 空気や水との接触を防ぐために保護の中に貯蔵し、危険物が保護液から露出しないようにする。
<消化方法>
- 乾燥砂、膨張ひる石、膨張真珠岩は、第三類による火災すべてに使用できる。
- 禁水性物質による火災では、水系の消火剤は使用できないため、粉末の消火剤や専用の物を使用する
- 黄りんによる火災は水系の消火剤が使用できる
- ハロゲン化物の消火剤は、反応して有毒ガスを発生するものがあるので、使用できない
⑤まとめ
第三類は自然発火したり水と接触できないため取り扱いがとても大変な物質です。 そのため、他の危険物を運搬するときは、同一車両に以下の物と一緒に積んではいけません。
- 第一類(酸化性固体)
- 第二類(可燃性固体)
- 第五類(自己反応性物質)
- 第六類(酸化性液体)